■サルタヒコは赤いシリウスか?2022.08.31
『天孫降臨』のシーン。
天孫ニニギ御一行は降臨の際、天の八衢に立ち高天原から葦原中国までを照らす謎の国津神サルタヒコと出会う。ニニギらを先導するために迎えに来たのだという。
日本書紀にはその容姿についてその神の鼻の長さは七咫(ななあた)、背(そびら)の長さは七尺(ななさか)、目が八咫鏡(やたのかがみ)のように、また赤酸醤(あかかがち=ほうずき)のように照り輝いているという姿であったと伝える。
その目の輝きについては星を連想させる。そしてニニギを先導するということだが…
これまでの投稿で述べてきた東海地方の10の名神大社で構成するオリオン座(参宿・ちなみに琵琶湖付近が井宿になる)。
伊勢国の名神大社はなんと『多度大社』と『阿射加神社』の2社だけなのだ。(※神宮は別格のためか名神大社ではない)
そのうち多度大社はオリオン座でペテルギウスに対応すると考えている。
阿射加神社はサルタヒコの3つの御魂(比良夫貝に手を挟まれ、溺れた際に生じた泡の三柱の神)を祀る神社であるが、オリオン座に対してちょうどシリウスの位置関係となるのだ。
ところで古代エジプトの夏のシリウスはナイル川の氾濫時期を知らせる星。
ヒライアカルライジングは恒星が東の地平線から太陽が昇るのに先駆けて出てくる現象だが、まさに太陽を先導するナビゲータースターがシリウスであった。
古代日本でも盛夏の明け方にシリウスは太陽を先導する星であった。(もちろん現在も)
ステラ・ナビソフトで5世紀ころの盛夏の夜明けに設定した東の空には、傾いたオリオン座の後方よりシリウスが現れ、そして夜明けとなる。(画像参照)
天孫『ホノニニギ』はまさに、真夏の暑い太陽のもと稲穂がにぎにぎしく成長・成熟する様子をイメージできる。その先導役のサルタヒコはシリウスに対応する名神大社 阿射加神社の祭神なのだ。
古代、シリウスが赤かったとの文献が多数あるそうである。古代中国でも『天狼が夜血を流す』との詩の一節があるとか。
全天で最も明るく蒼白い一等星シリウスがもしも、かつては赤かったのなら、サルタヒコのホウズキのように輝く目もシリウスだったのかもしれない。